白内障手術

数年前から少しずつ悪化していた白内障、原因は加齢、仕方ないことです。医師から勧められていよいよ手術に。一昔前は入院して術後は頭を固定してしばらく寝たきり、部厚いメガネで矯正、と大変だったようですが今は日帰り手術で簡単、と聞いてはいたもののいざ手術はとなるとちょっと身構えます。それと濁った水晶体を取った後にいれる人工水晶体、今までは単焦点(自分がよく使うところに焦点をあわせる、たとえば遠くに合わせると近くを見るときは老眼鏡が必要)のレンズしか無かったのですが数年前から多焦点レンズが日本でも認可されました。これだと遠くから近くまで若いときのようによく見えるようになりメガネは不必要、でもまだ健康保険の適用外なので25万円かかるとのこと、そのうえ私は緑内障視野狭窄があるのでどのくらい見えるようになるか保障できないので多焦点は勧められないという医者の意見。でも今使っている遠近両用コンタクト(多焦点レンズと同じ原理)老眼鏡はほとんど必要ないので非常に快適、でも値段が高い、それなのにしょっちゅう無くすということを考えると25万はさほど高くないし、メガネもコンタクトも使わなくてよいとは夢のよう、ということで医者の反対を押し切っての手術。6月半ばから毎週京都通い、美山からは一日がかりの大仕事、和知や園部まで送り迎えをしてもらって吉岡にもだいぶ負担をかけました。当日は3時半からの手術なので2時までに病院(バプテスト病院、前の一乗寺の店の近く)へ。受付後手術病棟へ、案内の人にお一人ですかと問われまわりを見るとみなさん付き添いの人が、簡単手術と聞いていたのに付き添いがいるほど大変なの、とちょっとひるみました。手術用の服に着替えてベッドへ。部屋にはベッドが4,5台、皆同じ手術を受ける人のよう。左手に抗生物質の点滴と体の中の酸素をはかるクリップを指先に、胸には心電図用の丸いものを3つはり、右手は血圧を測るベルトを巻き、何度も目薬を(これが麻酔のよう)、この状態でたぶん20分くらい、他の人は平気だったようだけど冷え性の私はぶかぶかの手術着とシーツだけでは寒いので毛布もかけてもらいました。この間に何人か手術室へ入っては出てきます。まるで流れ作業。いよいよ私の番、緊張、ベッドのまま手術室へ。明るいライトの下へベッドを固定して、目の上をビニールのようなもので覆い(眼球の部分は空いていて周りは接着テープのようなもので固定)、上からライトが煌々とさしているけど不思議にまぶしくありません。たぶん目薬の中にそういうものも感じなくさせるものが入っていたのでしょう。さあいよいよ本番。目を生暖かい水か何かで洗いメスを入れます。上まぶたの下の白目の部分を3〜4ミリ切りそこから細い器具を入れて水晶体を包む透明な袋の一部に穴をあけ中身の濁りを超音波で細かく砕いて吸引し残った袋に人工の眼内レンズを入れます。今メスを入れたのかな、吸引してるのかななど想像しながら手術が進むのを待っています。少しでも動くと危険ですからくしゃみなどしたくなったら合図をしてくださいと注意されていましたが、ドジな私のことどんな失敗をするかと内心ヒヤヒヤでしたがそんなこともなく順調に進み何か無理やり押し込んだようなズンとした違和感を感じた後糸のようなものが見えそれを切っているような動きが見えた後、はい無事に終わりましたという先生の声、その間5分もたっていません。ほんとうに短い時間です。目の中を切って縫うなど私のように不器用なものからは考えられない超絶技術、頭脳だけでなく手先の器用さも要求される仕事なんですね。感服!目には部厚いガーゼをかぶせその上に透明なプラスチックのカバー(「あてがね」というらしいです)、思ったよりうっとうしく見にくいです。距離感がとりにくいので階段では思わず手すりを持っていました。支払いを終えて(自由診療についてはカードOK,医者でカードで初の支払い)外へ出たのが4時半。入ってから出るまで2時間半、ほんとうに短時間で終わります。明日は朝8時半に診察なので今日は一乗寺に泊まり。用事で泊まることもあるだろうと1,2階は貸しましたが3階は空けてありました。予想に反して引越し以来一度も泊まることは無く今度がはじめて、2年ぶりです。暑いさなかに京都で泊まるとはとイヤでしたが幸い直前の台風の影響で思いのほか涼しくてホッとしました。なにせこの日はシャワー、洗顔、洗髪も禁止。いくら涼しいとはいえ我慢できずに下半身だけシャワーを。翌朝病院へ。先生の前で「さあガーゼを取りますよ、目を開けてください、どうです、見えますか?」と劇的瞬間を迎えるのかと思いきや、検査をしますのでと看護士さんが寄ってきてスッとガーゼをはずし何事も無かったように器械の中の赤いものを見てくださいと検査。ガーゼをはずした瞬間はランプの明かりから蛍光灯の光の下にでたようにパッーと明るい世界が!世の中こんなに明るかったのに徐々に悪くなっていたので気がつかなかったのかと信じられない思い、視力検査をしても今までとは大違いよく見えます。心配していた視野狭窄の影響もほとんど感じられません。良かったあー!先生に感謝!医学の進歩に感謝!白内障が出てきている方、もう少し待てば多焦点レンズも保険が適用されると思います。それまで辛抱を、そしてそうなったときは迷わず手術を。明るい世界が待っていますよ。